ブログを引っ越しして、いきなりの話題が別れです。

私の目標は、患者さんと一日も早くお別れすること。
だれも長く治療を受けたいなんて思いません。

Xさんは、潰瘍性大腸炎で悩んでいました。血便、腹痛がひどくなり、一年の内に数回も入院することが何年も続いていました。さまざまな治療を受けたのですが、なかなか良くなりません。

「大腸を切除しましょう」

主治医からの言葉は、これでした。炎症性の腸疾患では、最終手段として、腸を切除する、というスゴイ手段が使われます。悪いものにはふたをしてしまえ的な荒技です。もちろんそれで、助かる方もいますから一概に悪いとは言えません。
でもXさんからすると、「お腹を切りましょう」「はいはい、分かりました」と承諾も出来ません。その頃に、刺絡治療(爪もみ)を知り、受診されました。

初めはなかなか症状が落ち着かず、それでも遠方からまじめに通ってこられました。

すこしずつ症状が取れてきたのは、受診して1年ほど経ったときでした。それまで、経口ステロイド剤を服用しなければ、血便が出ていましたが、注腸(浣腸する)ステロイドで症状が軽快してきました。

その後、症状はどんどん良くなり、ステロイドも中止することができ、最近では2ヶ月に一回の受診でも、症状はほとんどでなくなりました。

Xさんが、久しぶりにやってきました。

「いかがですか?」
「えぇほんと調子は良いです。ステロイドはずっと使っていません」

私の山口での診療日はグッと少なくなることもあり、
「いったんこれで診療を終えようと思いますがいかがですか」
「そうですね。悪くなるようならまた来ます」

「長い間治療にかかってしまって申し訳ありません。私にもう少し脳力があれば、もっと早く治療を終えることが出来たのに」

それでは、と握手をして分かれました。もう二度と病院では出会うことがないことを心から願います。

患者さんを握手して送り出す、この一瞬はとても素晴らしい。

楽しい、うれしい別れをひとつひとつ積み重ねていくことは私にとってこの上ない喜びです。

みらいクリニックでも、たくさんのうれしい別れができますように。