「慢性免疫病の根本治療に挑む」を執筆された堀田治先生のことは、千葉のさかい歯科医院の酒井先生からその著書をいただいたことで知りました。

酒井先生とは、昨年行われたAKA医学会場で、のぞみクリニックの住田先生から紹介してもらいました。

 

どんなところでどんな人のつながりがあるか分かりませんね。ありがたいことです。

 

その「慢性免疫病〜」の第五章に

「安心・安全」が強調されるあまり「疾病を治す」という医療の本来の目的がなおざりになってしまっている

 

と記してあります。

 

また

 

後で振り返れば「ブレイクスルー」と言えるような新しい治療法の考案も、最初は日々の診療での些細な気づきからはじまる。

 

ともあります。

 

この部分がこの本の核心ではないかと思います。

アメニティを追求し、患者さんを「○○様」と呼んで、中にはお茶をサービスし、高価な椅子を奢り、癒しの空間を追求し

 

なんてのは医療機関にはあまり必要がないと思っています。

それは、本来の疾患の治療を追求するという目的からあまり関係ないことだからです。もちろんだからといって診察室にはパイプ椅子、エアコンもなしというのはいただけませんが。

終末期の病棟など「疾病を治す」という目的ではないところももちろんありますが、未だ多くの医療機関は「疾病を治す」ことがその主目的であることは疑いようがありません。

「え〜〜私実験台みたいですね」

「そりゃそうですよ。こんな変な治療しかしていないクリニックに来た時点で、自分自身を実験台として提供しているようなものですよ。そんな奇特な人じゃないとわざわざ受診しませんよ」

 

「そりゃそうですね」

 

ある患者さんに、新しい治療を提案したときのやりとりです。こういう方々が集ってきてくださるからこと、新しいことにチャレンジできますし、私たちももっと良いものを提供しなければとふんどしを締め直せます。

 

大学病院で新しい治療に取り組もうとすると、倫理委員会の承認を経なければなりませんが、これが難しい。各科様々な思惑が交錯しますから。

 

「あいうべ」を考えたときも、関節リウマチの方の匂いに着目したからでした。

誰に聞いても分からない、自分の中の経験でしかない、それを自分の中で解決していくのは大変でしたが、それがなければ今の私はなかったわけですから、ちょっとした変化を見逃さなかったことが良結果につながったと言えます。

 

私の医療は、”実験台”に喜んでなってくださる患者さん方がいるからこそ成り立っています。

そのためにはより良いものがあれば、そちらへ宗旨替えをすることはしばしばです。

 

ただ、薬をなるべく使わないという一点はずれることはありません。

 

今もいろいろな取り組みを行っていますが、完璧、これでOKと思った瞬間から堕落が始まりますから、いつまでたっても不完全で有り続けようと思っています。