「病態を知らない医師が診療をするなんて・・・」

当院と併診している医療機関のドクターから患者さんが言われた言葉です。

非常に興味深い内容を含んでいますね。

病態とは何でしょうか。

病気によって惹き起こされている状態や、症状、ひいてはその原因となっているものを解き明かしている、あるいはその機序といえるものでしょう。

しかし、医学が発展するにつれ、従来の病態が変化していくことは必定です。

卑近なもので言えば、胃潰瘍。

以前は、攻撃因子(胃酸など)と防御因子(粘液や細胞修復など)のバランスが崩れることによって胃潰瘍が起こるとされていました。

私が学生時代には、そのように習いましたし、実習をする頃になってキャンピロバクター・ピロリといわれていたのが、ヘリコバクター・ピロリ(パイローライと発音すると専門化風?)がその実態であると変わってきました。

治療法ももちろん、その時々で変わっていくものです。

胃酸を押さえるものから、除菌へと変化しました。除菌も当初は、自費診療しかなく、一週間分の薬剤費が一万円程度だったと記憶しています。

それが、現在では保険診療になって、患者さん方の負担が減りました。

今私たちが知っている病態は、とても揺らいでいます。

そして、病態が詳しく分かったからと言って治療できるかどうかは別問題なのです。

前掲の台詞を放った医師は、病態をしりながら5年以上の間病気の改善は得られていなかったのです。

そして、病態を詳しく知らないみらクリで治療をして、数ヶ月で治癒の兆しが見えてきたのです。

例えば鼻咽腔炎(病巣感染)を考えても、それを様々な病気の一因として捉えている医師はごく少数でしょう。病気が発現している当該臓器のみに焦点を当て、病態を語ると間違った結論になってしまいそうです。

病態を知ることは大切です。

しかし、その病態が正しいのか、別に考えることはないのか、そして治癒させるためにはどうすればいいのかを問い続けることはもっと大切だと思います。