生まれつきアトピー性皮膚炎だったという40代の男性。

人づてに、「あいうべ体操」をしたら三日で治ると聞いて(誰こんなこというの)、三日で治りたいと受診した。
それが、昨年の夏。

典型的なアトピー性皮膚炎で、漢方薬局で生薬の処方を受けているという。

舌低位、口呼吸、鼻咽腔炎があったので、「あいうべ体操」と鼻咽腔炎治療を指導した。漢方薬はやめてもらった。

で、一度の受診後再来なし。全くそのことは忘れていた。

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「あれからすぐに調子が良くなって、綺麗な肌だったんです」

「そうですか、それは良かったです。で、今日はどうされたんですか?」

「2週間ほど前から手の甲が悪くなりました。あの点鼻の薬が無くなったので貰いに来ました」

「そうですか。すぐ良くなったのですね。漢方もやめることが出来て良かったですね。点鼻はいつまでしていたのですか」

「一月くらいでしょうか」

再診は、10ヶ月ほどだってからのこと。その間の肌の調子は良くて、本当に三日で良くなったと喜ばれていた(私が言ったわけではない)。

「ちょっといいですか」

帰り際にHさんがふと

「ハイなんでしょう」

「どうしてこんないいものを皆使わんのですかね。あれからいろんな医者に聞いたけど、誰も知らんと言っていました」

Hさん、新幹線受診なので、そのためだけに来るというのはなかなか大変です。

「そうですねえ。私も使って欲しいと思いますが、今回のようにすぐに治ってしまうと、正直商売になりませんからねえ。とても安いものだし」

「?????」

当たり前であ、。一回で治ってしまえば、受診はそれだけ。治す時期が遅くなればなるほど、”儲かる”。

私も経営者なので、経営していくことも必要だ。でも、それ以上に患者さん方が治ることが大切。

高楊枝をいつもくわえておく必要がある。

使った分だけ医療費が支払われる、治療成績は問わない、このことが問題の難しさを表している。

治してしまえば、売り上げはゼロ、治療を引っ張ればそれだけ売り上げが上がる。そんなことを考えて医療をやっている医者は少ないと思うが、ゼロではないだろう。

口を閉じるだけで、あいうべ体操をするだけで医療費は激減すると思う。でもそうなると困る人たちもいる。製薬メーカーはどうする?薬局はどうする?

そのことを少し考えてみると、医療に対する見方も大きく変わるだろう。

鼻咽腔炎は、あいうべ体操では改善が難しいかも あいうべ〜