Iさんは、いろいろ病気を抱えているが、そのうちの一つの治療のため通院されるようになった。

いろいろというのは、高血圧や気管支喘息などもある。でも、それらは通院の原因となった病気ではない。

気管支喘息とくれば、あいうべ体操。

あいうべ体操と来れば、気管支喘息。

Iさんにも、初診時に喘息の治療薬を減らすために、あいうべ体操をお伝えした。

まだ通院して、3ヶ月ほどであるが、吸入薬の回数も減らし、もちろん発作の回数も激減してきている。

「ホントに、あいうべ体操だけで、息がしやすくなりますねえ」

「そうなんですよ。簡単なことなんですけどね」

「そういえば、以前は、治療していてもピークフローが、300とか400をウロウロしていたのに、この前500を越えたんです。測定して初めてです。息をするのがラクです」

「そうですか!やりましたね。ご自分の努力の結果ですよ。ますます薬が減らせそうですね」

ピークフローというのは、喘息治療の一つの目安となるもので、ピークフローメーターという、呼気の速度を簡単に測定することが出来る器具だ。

これを使って、その日の気管支の状態を客観的に把握することが出来る。


年齢や性別によっても違うが、300というのは結構息苦しい値である。

500を越えるようなら、普通の人と遜色ない。

これが下がってくるようだと、発作が起きる可能性があるので、十分注意して生活することが必要である。

Iさんは、薬も減らして、ピークフローはあげて、という理想の展開である。

これが数ヶ月続けば、吸入薬を止めることも夢ではないだろう。これまで何年にもわたり使ってきた薬、一生これでコントロールすることですよと、強く言われていた薬を自分の努力で止めることが出来るのは、素晴らしいことである。

気管支喘息やアレルギー疾患の原因には、口呼吸が大きな役割を果たしている。

これを中止するよう指導するだけで、どれほどの薬が減らせるだろうか。

製薬メーカーからは、このような提案はマズ出てこないだろう。となると、医師からも出ないであろう。

製薬メーカーの広報を鵜呑みにしていると痛い目に遭う。薬を売り上げてナンボの商売だから、これは仕方ない。

でも医師は、薬を売り上げてナンボとはいかない。『治す』ことが目的だし、仕事だから。

基本的にそのスタンスが違うと思う。

気管支喘息で苦しんでいる人は、今すぐあいうべ体操をやって欲しい。

薬を飲み続けたい、止めるのが怖いという人はそのままの治療を続けるのを勧める。

ただ、このままずっと飲み続けるのは不安だという気持ちを抱えながら、生活するのはあまり精神衛生上良いとは言えない。

元手もかからないので、やってみてはどうだろう あいうべ〜