先日、熊本での講演の際に、王宝禮教授(大阪歯科大)の講演を拝聴した。

先生は、口腔内科というものを確立しようとされている。詳しくは、HPを参照して欲しいが、口腔内の様々愁訴に対しての治療だ。
日本歯科東洋医学会熊本
舌が痛い、難治性口内炎、口乾、口渇などといった、重篤ではないけれど、不快な症状に対してアプローチしていこうという考えだ。

患者さんのQOLを高める治療であろう。

これらは、「死にはしない」ので、治療が軽んじられがちだが、患っている患者さんにとっては大問題になる場合もある。

口腔内科では、特に漢方薬を用いた治療をしているという。

現在歯科医師が使用できる漢方薬は、驚くほど少ない。というより、ほとんど無いに等しい。

それらの適応を拡大して、治療向上のための取り組みも王教授は行っている。

それ以外にも、唾液には傷を治す物質があるので、傷口を舐めるという行為に繋がる、という研究結果を最近発表されたことで知っている人もいるだろう。

漢方薬の中には、白虎加人参湯、麦門冬湯、半夏瀉心湯など口内炎やその他口腔内の症状に効果が見られるものがたくさんあるが、それらを処方することは現時点では難しいのだ。

王先生達の取り組みが広がって、口腔不定愁訴に対して治療が出来るようになれば、患者さん方にも大きなメリットになろう。

PS 私は、不定愁訴という言葉はあまり使いたくない。これは王先生にも直接申し上げた。患者さんからすると、真正面から受け止められていないように感じられるからである(少なくとも医科では)。何か別の言葉で表現できるようになると、さらなる医科歯科の連携にも繋がっていくと思うし、ひいては患者さん方の利益になっていくと考えている。