掌蹠膿疱症は、未だ原因不明の、その名の通り手足のひらに嚢胞が出来る疾患である。

慢性扁桃炎や歯科金属など、免疫異常を惹き起こす病態が存在するが、まだ未解明の部分も多い。

治療はというと、嚢胞が出来たところにステロイド剤を塗るのが一般的だ。 
Hさんも、掌蹠膿疱症を煩っていたが、一進一退を繰り返していたために、ステロイド外用剤の塗布でしのいでいた。

ところが、それまであまり出現しなかった手掌(手のひら)に嚢胞が認められるようになり、病気がひどくなったのではないかと心配して受診した。

もちろん薬はなるべく使いたくない。

上咽頭擦過治療(Bスポット治療)をすると、巻綿子に血液が付着する。上咽頭炎の存在を窺わせる。

あいうべ体操と点鼻治療を伝えて初診は終了した。

それから8ヶ月ほど。

受診回数は、延べ3回。

嚢胞の出現は、めっきりと少なくなった。

「リンデロンは捨てました」


それまでは、リンデロンというステロイド剤を塗っていたが、必要なくなったので、ゴミ箱行きになったということだ。

今やっていることといえば、点鼻とあいうべ体操のみ。

上咽頭擦過治療(Bスポット治療)でも出血することはなくなった。

上咽頭炎(鼻咽腔炎)は、沈静化しているのだろう。

そのことが、免疫異常を改善し、体の状態を良化させる。

上咽頭は、免疫の要なのである。しかも、治療はそれほど難しくない。

これが扁桃だったり歯牙だったりすると多少やっかいになるから。

 原因の場所と結果の場所が違う。日常においてはよく経験することだが、体のこととなると、結果の場所(症状の出ているところ)が原因の存在する場所だと、思い込んでいまいがちになる。これは要注意。

Hさんも、自分で自分の病気をコントロールできるようになり、これほど薬を使わないのは初めて、といえるくらいになった。

つくづく人間の体は不思議だと感心する。