上咽頭というマイナーな場所が、免疫の要であると言ったら驚かれるであろうか。

この上咽頭を理解する本が二冊。手前味噌であるが紹介する。
 

上咽頭というのは、ノドチンコ(口蓋垂)の裏の部分であるが、昔は、Bスポットとして知る人ぞ知る組織であった。
これが、免疫の要であり、鼻の入り口に鎮座する体の守り神であることが分かりつつある。

著者は、堀田修先生と私であるが、二人ともまったく耳鼻科領域とは関係のないところがおもしろいところだ。

病気の元となるとところは、どこかなあ、と探し出して、たどり着いたのが、ハナであったのだ。鼻は、顔の中でも突出したところで、目立つ部分である。韓国語で、ハナといえば、一番のことである。

ハナから始めるというのは、ここからきており、最初からということである。

このハナは、息の入り口であり、生きていく上で最重要の箇所である。もちろん、口も大切であるが、息をしなければ、すぐにでも死んでしまうことを考えると、人間の体を維持していくためには、超重要である。

心、魂のことをプシュケというが(精神科は、psychologyという、psychoはプシュケpsycheである)、このプシュケは、もともと”息”breathを表していた。

ここに精神が宿り、命の元となったのである。

この通り道は、もちろん鼻である。鼻腔から直角に折れ曲がり、咽頭、気管へと続く空気の通り道は、その折れ曲がりの上咽頭で一度流れが淀む。

この上咽頭の表皮細胞には、他の粘膜細胞と違ったおもしろい働きがある。

扁桃や上咽頭は、守りと同時に、感染や炎症を引き起こし、免疫異常の元となることがある。ここを綺麗に保つことは、精神や体を綺麗に保つことにもつながるのである。

上咽頭の不思議な働きに興味を持った人は、ぜひ上記二冊の本を手にとって欲しい。そこには、また違った体の見方があるだろう。