身体表現性障害(SD)という”病気”が一般的になってきたのはいつ頃だろうか。私が、大学病院にいた頃にはすこしずつ、その概念が出てきていたから、10年近くになるのだろう。

Yさんは、口のヒリヒリ感と舌のしびれであちこち医療機関を巡っていた。
色々な検査をしてもこれといった原因が見出せないため、うつ状態による症状だろうと診断された。

そして、抗うつ薬が二種類投与された。

抗うつ薬を飲み続けるものの、舌の奥のつっぱり感は取れない。ピリピリしている。

後医は名医と言われるが、様々なところで検査をしたのだから、おそらく身体の異常ではないのだろう。

私は、SDと診断した。

原因はよく分からないよ、でも症状はあるよと言うことだ。

実はこのような状態はたくさん存在する。

むしろ症状に対して病名が付く方が少ないかもしれない。ほとんどの人は、たいした病ではないと受診しない人の方が圧倒的だからだ。

その様な症状は、たいていの場合知らないうちになくなっていくものだが、そうでない場合は、どんどん気になってしまい、自分ではどうしてもコントロールが付かなくなってしまう。

そうなると、治療が必要になってくる。

Yさんには、トレドミンとトリプタノールという薬剤が処方されていたが、トリプタノールはその場で中止して、トレドミンをゆっくりと減らしていくことにした。

結果として、3ヶ月ほどで、トレドミンも全廃することが出来た。でも、症状は改善しなかったとなっては、笑い話なので、もちろん、症状も改善した。

そして、終診。

実際に薬が必要なのか、それが実薬として必要なのか、おまじないとしてプラセボとして必要なのかは、判断が難しいところではあるが、止めてみて悪くなるようであれば、まだ必要な薬であるという判断方法もある。

もちろんすべてにこの方法が使えるわけではないが、試しても悪い方法ではないだろう。