熊大の粂先生がいらっしゃったことは以前書いた。熊本での講演

薬をなるべく出さない私でも、ほいほい処方する薬がある。睡眠薬だ。

睡眠だけは、薬を飲まないように頑張るよりも、薬を飲んででも眠った方がいいと考えるからだ。
良質の睡眠は人生を豊かにする。

Uさんの奥さんから相談を受けた。

「主人が色々とストレスを抱え込んで気分のむらが激しいんです。それに・・・」

頭部に円形脱毛も発見したという。

「朝もすぐに目が覚めるし、どうしたらいいんでしょうか」

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このような急性のストレス反応の場合は、 寝ることだ。まずはしっかりとした睡眠を取ることで、体外のストレスは乗り越えられる。

眠れないことが、体力低下を助長し、そしてそれがさらにストレスを増悪させるという、悪循環をたどってします。その悪循環を断ち切らねばならない。

最近(といってもずいぶん前からだが)、睡眠薬も非常に使いやすくなり、逆行性健忘などもほとんど見られないし、翌朝残ることも少ない。

「ご主人に受診するようにお伝えください」

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久しぶりに会うご主人は、すこし痩せて、前額部に円形脱毛症がある。

「ご主人、睡眠が不規則だから、ゼッタイ寝た方がいいですよ」

「そうですかねえ。家族から、気分のむらがあったり、突然声を荒げたりなんて言われるので。耳鳴りもするし」

「悪いことは言わないですから、まず一週間飲んでください」

ということで、服用してもらった。

すると、久しぶりにぐっすりと寝ることが出来る日々を送れたようで、幾分気分も落ち着いてきた。

「やっぱり寝ることですよ。そうすると、ストレスに対する抵抗力も強まりますよ」

「やっぱりストレスで弱っとったとですねえ、薬でぐっすりと眠れるようになりました」

以前は、睡眠薬というと反張性不眠や依存性を心配する人がいたが、それらの副作用についても余り心配することはない。

「癖にならんですか?」

「癖になることは少ないですが、癖になったとしても今は服薬した方が身の安全です」

睡眠は、とても大切。

眠れない時には、睡眠薬を使ってみることも一考である。

薬をなるべく使わない医者が言うのだから大丈夫