大学の医学部では、当然のことながらヒトの体しか学ばないと言っても過言ではありません。私も、呼吸舎咀嚼などについて詳しく知りたいと思うまで、ヒトの体以外のことについてはほとんどと言って知っていることはありませんでした。

どのくらい知らなかったかというと、ニホンザルとチンパンジーはほとんど同じだと思っていたと言うくらいです。
えっほとんど同じじゃないの?と思った方、心配することはありません。私もそう思っていました。

ところが、サルとチンパンジーより、ヒトとチンパンジーの方が”近い”のです。サルとチンパンジー(類人猿)を分けるもの、それはしっぽです。しっぽが有るか無いか。

だいたい医者は、ヒト以外の生き物のことなど(言ってしまえば、自分の専門の臓器以外は)興味がないものです。

たとえば、P1010140時々恐竜とされるこの生き物。

背中に帆があり、恐竜図鑑などに出てくることがあります。

でも、これはディメトロドンというどちらかというと、私たちほ乳類に近い生き物で、しかも恐竜とは全然違う時代に生きていました。



へぇ〜っ。こんなこと知らなかった。知っていても役に立たないし(^^ゞ

ヒトの体をもっとよく知ろうと思ったら、その成り立ちを知っていくと良いですね。

ということで、久しぶりに読み応えのある本に出会いました。


ヒトとチンパンジーのDNAは、1%しか変わらないとは良く聞きますが、たった1%の違いでどうしてこんなに違うのか??

たとえば、骨盤。

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私たちは、直立二足歩行をしますが、こんな生き物は例外中の例外です。

えっペンギンもカンガルーも、ダチョウも、エフィジア・オキーファエ(二足歩行のワニ)もいるじゃないという向きもありましょうが、直立して脊椎と骨盤が一直線になっているのは人間だけなんです。



ヒトは、直立二足歩行をするようになって骨盤の形ががらりと変わってしまいました。そのため、出産がとても危険なものになってしまいました。

このことを分けたものは何なのか、それはシアル酸というありふれた蛋白質の変異によるものも一つの原因かもしれません。

このシアル酸の変異(唯一ほ乳類の中でヒトだけが変異している)を見つけたのがVarki先生という人物。私も、数年前にこのことを知ったのですが、なかなか詳しい本や文献などがありませんでした。

そしてこの度、この翻訳書が出たのです。夢中で読みました。知らないこともたくさん掲載されており、まさに読み応えがあり、読了感も最高の本でした。

こんなヒトとサルの違いなどに興味のある方は、


はいかがでしょうか。

また遠藤先生のこの本も面白いですね。


そしてさらに興味を持った方には、この本。ちょっと高いですが、遠藤先生のオタクとも言える”愛”が込められた本だと思います(^^)

こんな本立ちとの出逢いは人生を豊にしてくれます。