目の痛み、充血、頭痛を主訴に受診された方です。
数年来悩んでいましたが、診断が付かず、最近ではどこでも「年のせい」「加齢性変化」と言われる始末。

もう何でもかんでも年のせいですな。そんなに年をとることが悪いか!
「年のせい」と言い出した瞬間に、診療レベルが下がってしまいますね。

さてこの方の問診票。

見てみると既往歴には、虫垂炎、関節リウマチとおなじみの病気が並んでいます。

これを病気を別々に診てしまうと、「よく病気をする人だなあ」という位で終わってしまいます。


でも病気は別々ですが、体は一つな訳ですから、何らかの理由があるはずです。

病気を時系列で診ていくといろんな情報が見えてきます。

リウマチ患者さんの既往で多いのは、鼻疾患、虫垂炎、口腔疾患です。

これらは他の病気の方々より明らかに多い。

ここには大きな理由が隠されていると考えるのが普通ですね。

でも病気が起こっている場所が全て違っているので、別々の病気、独立した病気と捉えがちになってしまいますね。

この方の場合、病気をつなげるのは口呼吸による上咽頭炎です。

上咽頭2
上咽頭を擦過するとやはり出血が(これは別の写真)。慢性上咽頭炎です。

慢性上咽頭炎による目の痛み、充血、頭痛と考えるとこの方の病歴が一本の線となってつながります。

病巣疾患なのです。



 上咽頭
上咽頭炎は、上記のような様々な症状を引き起こします。もちろんこれだけではありません。

片頭痛と言われる人たちの多くは上咽頭炎を合併しています。

こんな風に、体の別々の病気を別々に診るのではなく、一つの個体として見ていこうというのが、日本病巣疾患研究会です。

昨年第一回総会を行いました。

今年は、9月14日に都内で行います。

医科歯科連携の旗印をあげて、一人でも多くの患者さん、そして医療者もラクにしていける医療を作り上げたいと思っています。

ぜひご参加下さい。