歯周病はもうすでに全身病と同じです。

この度デンタルダイアモンド社から2017年3月23日に発行されました。

「歯周病悪化の原因はこれだ〜リスクファクターを知れば難症例も恐くない」

の「口呼吸と歯周病」の章を担当させていただきました。

口呼吸と歯周病ってなかなか繋がりが見つからないかもしれませんね。

ところがそれが大きな繋がりがあるのです。

歯周病は、口の中のみならず体全体に悪影響をおよぼす「病気」「感染症」なんだということが分かってきました。

歯周病を予防、治療することが出来れば、体の病気の予防、治療につながるかも知れませんね。


歯周病悪化の原因〜リスクファクター

リスクファクターを避けることの大切さ

病気治療の方法には、大きく二つあります。

一つが役に立つ何か新しいことを加えること。

もう一つがリスクファクター(危険因子)を避けること、です。

例えば喫煙はたくさんの病気の元になりますが、肺がんになってしまったとします。

この時に、手術や薬を使うのが「新しいことを付け加えること」そして、禁煙がリスクファクターを避けること、です。

体にいいことをしたとしても、身体に悪いことを続けていたらその効果も打ち消されてしまいますね。

だから、リスクファクターを避けることも立派な治療の一つなのです。


歯周病のリスクファクターとは

それでは全身に色々な病気を引き起こしてしまう歯周病のリスクファクターとはどんなものがあるでしょうか。

歯みがきをしない、口の中の衛生を保てないというのが一番に上げられます。

その他にも喫煙、糖尿病、妊娠や出産、加齢なども挙げられます。

妊娠や出産、加齢を「避ける」と言うことは出来ませんから、その際は歯科治療をきちんと受けることが望まれます。

歯周病のリスクファクターとして見落とされがちなのが「口呼吸」なのです。

口呼吸は歯周病の原因とはならないのですが、一度起きてしまった歯周病を悪化させる原因になります。

ところで歯周病は一度かかってしまうと「治らない」病気なんです。

だから日頃のケアがとても大切になるのですね。


口呼吸と歯周病

口呼吸と歯周病って余り繋がりがないようですが、それがそれがとっても深い繋がりがあるんです。

口呼吸の人は、歯肉炎や歯周炎がひどくなり、唇などが乾燥します。

そしてさらに炎症がひどくなっていくという悪循環を引き起こしてしまうんですね。

口呼吸問題の探求

私は、今回6ページを与えられて「口呼吸と歯周病」について書くように依頼されました。

忙しい時期での依頼だったので、最初はお断りしたのですが「いや、自分のためにもなるし、なんと言っても患者さんのために書かなきゃいけない」と奮い立たせて引き受けました。

今となっては引き受けて良かった、頑張って仕上げて良かったと思います。

今回は、口呼吸と歯周病に関する文献的考察に文字数を割きました。

これまでそのような書籍は無かったからです。

文献は、1980年代前後に北海道大学歯周病学教室で行われたものを参考にしました。

この頃の口呼吸問題研究はかなり進んでいます。

石川純先生を中心に行われていたようです。

たとえばこんな「学童における口呼吸徴候の研究」なんてのを読むと本当に面白いですよ。

いまでは歯周病学会のご厚意によりPDFで見られるようになっています。

私がこうして「口呼吸と歯周病」なんて章を書くことが出来るのもこの先生方のお陰です。あ

ありがたい。

歯周病と関節リウマチ

口呼吸は歯周病を悪化させるのですが、歯周病によって起こる病気が関節リウマチです。

関節リウマチ治療には、歯科治療は「必須」とも言えます。

関節リウマチの発症機序は詳しくわかってきており、歯周病菌がその発端と考えられています。

また喫煙も関節リウマチのリスクファクターです。

口の中の環境を改善することって大切なのですね。

本文中にも、口呼吸を改善して関節リウマチが改善した症例を提示しました。

抗CCP抗体は、関節リウマチの初期診断に使われる血液検査の一つです。

リウマチ因子(RF)を知っている人もいると思いますが、RFより抗CCP抗体の方が、検査の感度、特異度とも高い(つまり有用)です。

30代の女性で関節リウマチと診断され治療を進められましたが、授乳をしたいということで服薬をしたくないといってみらいクリニックを受診しました。

口呼吸対策、オーラルケア(歯周病あり)をしてCRP(炎症反応検査)はもちろん抗CCP抗体も低下して、薬を使うことなく「寛解状態」になった症例です。

関節リウマチといえども、歯周病と大きく関係しているのですね。

歯周病予防は、まず口を閉じて口の中の潤いを保つことです。

それで全身が元気になるなら、今すぐにでもしっかり口を閉じて鼻呼吸!ですね。

この書籍一般の方が買うにはちょっと値段が高いですが、歯科医療関係者の方ぜひ一度手に取ってみて下さい。