最近、患者さん方から聞かれることが多かった話題を一つ。

うつ病やうつ状態、パニック障害などが一般的な病名として認知されてきたのはとてもいいことだと思うのですが、反面何でもかんでも”うつ”や”うつ状態”にされすぎる嫌いがあります。

パキシルやルボックスといったSSRIという副作用の少ない抗うつ薬が発売されたことも後押しして、抗うつ薬市場は急拡大しました。

私もよく使う薬の一つではあるのですが、とても良い効果が出る人もいます。

でも、最低半年間くらいは飲み続けることが必要なため(再発率高し)、止め時が難しい薬でもあります。

特にパキシルは、セロトニン症候群といって、止めるときに動悸や火照りといった離脱症状が出来るときがあります。

ずっと飲み続けるのは怖いので、自己判断で中止したときなど、離脱症状にビックリして止められなくなったという方もいます。

問題なのは、一回こういう薬が処方されてしまうと、いつ止めるのかがあまり話題にならないことです。症状が落ち着いてくれば、受診は頻回でなくてもいいのですから、長期間の薬を処方されるという受診を重ねることになります。

「もうカウンセリングは必要ないので、止めたいのですが」

知人が、主治医にこう告げたそうです。長年鬱の薬を飲んでいるけれども、症状が改善しても、薬は減らない、むしろ増えていくばかり。カウンセリングといっても世間話をするだけで、お友達とおしゃべりしていた方がいい。でも、先生からは薬を減らしましょうとも、これからの治療はこうしましょうともお話がない。結局はいつもの薬を貰って終わり。

これじゃなんのために治療を受けているのか分かりませんね。

「じゃ、次からカウンセリングはなしにしましょう」

主治医からは、すぐにこう答えが返ってきたそうです。

「あなたにはまだ必要ですよ」とかならまだ分かりますが、これならば治療の主導権は誰にあるのか分かりません。

「止めたいのですが」と言い出さなかったら、ずっと同じ”治療”(といえるのかどうか)を受ける羽目になっていたでしょう。

薬は一旦処方されるとなかなか中止できません。特にメンタル系は、血液検査のような指標がないのでさらに難しいですね。

「薬を止めたいのですが」

薬や治療に疑問を持ったら、こういう風に切り出してみるのも一考です。

先生の性格上、なかなかそういう雰囲気にならないという方は、医師を変えることも必要かもしれませんよ。