あいうべ体操・ゆびのば体操の「みらいクリニック」院長 今井一彰>漢方薬
漢方薬
漢方治療から、少し身を引いたのは、処方することが目的化していて、ヒトの身体を真正面から捉えることが出来なくなったと思ったから。
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ある時、ふと考えた。
診察室に患者さんを迎えるとき、「あぁこれではいけない」
漢方薬局で漢方を処方してもらっているけれど、なかなか症状が良くならないと言う相談を良く受けるようになりました。
生薬であれば処方名を書いてもらってきて処方内容を見せてもらいます。中には、なかなか教えてくれない薬局もあるようですが、、、。エキス剤を処方しているところもありますから、メーカー名も含めて教えてもらいます。
”ジェネリック医薬品”という言葉をよく聞くようになりましたが、先発品の特許が切れた後発医薬品で、薬価が安いのが魅力です。
盛んに薬代が安くなると宣伝していますから、処方してもらっている方もいらっしゃると思います。
漢方にもいろいろなメーカーが存在します。ツムラやカネボウといった大きなメーカーから、あまり名前を聞かない小さなメーカーまで様々です。
私は、西洋薬は先発品を使うようにしています。値段は多少高めですが、後発品は、品質が一定しないものもあり、患者さんにはお勧めしたくありません。もちろん自分でも好んで飲もうと思いません。
安ければ安いほど良いという方は、ジェネリック医薬品を服用されるといいと思いますが、私は値段より安心を優先したいので先発品を使いたいです。私が、服用するにしても先発品です。月々何万円も違うというなら考えますが、数百円から数千円の違いです。自分の体のためですから、そこをよく考える必要があります。
漢方薬もメーカーによって有効成分に大きな開きがあります。
薬局であまり聞いたことのないメーカーのものを処方され
「どのメーカーも一緒ですよ」
と説明され、不安になって相談された方もいますが、残念ながら
「どのメーカーも一緒ではありません!!」
生薬の産地、量によって出来上がりの漢方薬の成分は大きく変わりますから、メーカー間で違いがでるのが当たり前です。一つの成分を抽出した西洋薬と違うのですから。
小さなメーカーには、有効成分の量がバラバラだったり、ほとんど入っていなかったりという報告もあります。
安いものには理由があります。
漢方薬も産地や生薬の部位、等級によって値段がバラバラですから、同じものを使ってると言っても”名前だけ”ということもあります。
食品でもそうですよね。赤貝といっても、赤貝の缶詰の中に入っているのは、赤貝ではなくて”サルボウ貝”です。裏を見てみると書いてあります。寿司屋でも本物の赤貝ではなくて、サルボウ貝を赤貝と称して握るところもあります。
そちらの方が安いのですが、味は全然違います。でも流通している名前は同じです。本物とは違うものを、本物と思いこまされることもあるわけです。
漢方薬も同じような場合があります。
保険診療機関で処方される漢方薬は健康保険が使えますから、保険のきかない薬局で処方されるものでもその1/3の値段で済みます。また医師に処方されるときは、脈を診て、お腹を見て、全身を触って診断しますから、患者さんから得られる情報量に大きな違いがあります。
漢方薬をご希望の場合は、病医院で相談してみてください。ムダな出費を抑えることが出来ると思います。
最近、薬剤師免許を持たずに漢方を処方した女性が逮捕されると言うことがありました。まじめに調剤している薬剤師からすると大変迷惑なことですね。でも中には、こういう”売らんかな”の人がいますから要注意です。
昨夜は、あまりぐっすりと眠れず、ひどい寝汗で何回も目を覚ましました。朝起きたときにすこし咽が痛かったのですが、寝汗がひどいことが気がかりで、気に留めませんでした。
診察をしていると、
「あら、今日は何だか鼻声ですね」
と患者さんから指摘されました。
「えっそうですか?気にならなかったけど、そういわれてみるとそうかもしれません」
「カゼじゃないですか?」
「昨夜寝汗がひどかったから、そうかもしれませんね」
寝汗は、体調不良によるものだったのでしょう。○○は風邪を引きませんので、私も滅多に発熱したりということはないのですが(「あいうべ」をしっかりやっていますから)、でも「カゼじゃない?」といわれると、その気になってきます。何だかすこし虚脱感が出てきました(この辺は、とても単純です)
言葉の力って怖いですね。
すぐに、机の中らかがさごそと漢方薬を見繕い、口に放り込みました(診療中でしたので、、)。
ものの五分としないうちに、虚脱感は消え、それまでうっすらとかいていた汗も引きました。早く服用すればよかったと後悔しましたが、普段カゼなど引かないので不注意でした。
こういう時の漢方ってとてもよく効きます。PL顆粒なんかよりずっと効果有り。眠くもならないし。カゼになると、「PLをください」って希望される方がおられるけど、一度漢方薬を試されると、次回からは漢方で、となります。
カゼをよく引く方は、手元に漢方を常備しておくと、ひどくならなくて済みます。
今日はしっかりと、「あいうべ」をして寝ることにしましょう。
「そういえば、あの方どうなりましたか?」
山口病院のスタッフに聞きました。一年ほど前に、知人が不妊症ということで漢方薬を投与している方のことです。遠方の方だったため、近くの病院で同じ漢方薬を処方してもらっておりました。
「あぁ忘れていました。ようやく妊娠出来たんです。結婚して7,8年目で初め他だったから喜んでいました、先生の漢方のおかげです」
「いやぁそれはよかったです。出した甲斐があるってもんです」
ずっと不妊治療をしていましたが、なかなか子宝に恵まれず、漢方薬を求め来られました。私が漢方薬を決めるときはオーリングテストですから、その方にぴったりの漢方薬を決めることが出来ます。
もちろん、古典的な脈を診たり、ベロを診たりという診断も併用します。
こういうお話を聞くと、素直にうれしいですね
二度ほどしかお会いしたことがない方ですが、
おめでとう!!
って感じですね。
子作りで困ったことのない我が家ではあり得ない悩みですが、困っている方は、あきらめずに漢方を試されることをお勧めします。
ホームページのカウンタが急激な増加を示したので、不思議だなと思っていたら、テレビ朝日で漢方の特集があったのですね。かかりつけの方からお聞きしました。
漢方や和漢薬(漢方薬)が医学部で必修となって数年経ちました。私が漢方を勉強しようと思い立ったときとは大違いです。
当時、日夜ICUに寝泊まりという研修生活を送っていましたが、西洋医学ではない治療を勉強したいという思いは募るばかりで、漢方の研修先を探しておりました。
先輩や同僚からは、「???」ばかり、不思議がられて、あきれられて。まぁそれがありましたから、なにくそと思って勉強に励むことが出来ましたが。
それそうと、漢方薬が健康保険適応と知らない方がまだまだ多いことにビックリします。ツムラも結構宣伝をしているから、皆さんご存じかなと思っていましたが。
漢方薬局で買うと保険がきかないので高価ですが、病医院では保険がききます(もちろん薬価収載されているものだけです、梅寄生とか霊芝とか保険がきかない生薬や処方もあります)。エキス剤だけではなく、生薬も基本的に保険がききます。
現在では、日本東洋医学会の漢方専門医を広告できるようになりましたから、漢方治療を希望されるときは、これを目安にしたらいいと思います。
でも漢方薬が保険適応と知られると困るのが、漢方薬局です。漢方のメーカーさんには苦情が行くことがあるとか。そりゃそうですよね。同じものが、ずっと安い料金で、しかも医師の診察付きで処方されることが分かったら、、、、怖いですよね。
ここ数日漢方処方を希望される方が増えました。みらいクリニックでは、漢方薬は利便性を考えて、エキス剤のみを処方しています。
時には生薬を処方していた頃を思い出して、またやってみたいなと思うときもありますが、みらいクリニックで提供する医療は、西洋も東洋も越えた未来の医療ですから、そちらを極めていくことに力を注いでいます。
漢方薬も薬ですから、薬に頼らない医療を目指すみらいクリニックを作っていくことに必死です。